Visiblog

次世代リクルーティングマーケットの創造に挑戦する2人が書くブログ

内定辞退について<怒投稿➄>

佐藤です。

 

「顔を覆いたくなる記事」の内容に斬り込む最終回です。

 

business.nikkei.com

 

Q:以下の部分についてどう感じるか

【以下記事の一部を抜粋】

 星野リゾートは、選考をしている段階から「自社の魅力」を入念にアピールする、という手を打つ。学生たちは同社に魅力を感じているからこそ入社試験を受けに来ているわけで、一見、無駄な作業に映るがそうではない。

 旅行業界における星野リゾートの存在感、強さの秘密、安定した業績に今後の成長性……。そうした魅力を繰り返し聞かされながら選考過程を勝ち抜いた学生は、多くの場合、内定を受け取る頃にはすっかり星野リゾートのファンになっている。「選考の過程で自社の強みをインプットするのも有力な内定辞退防止策」と採用コンサルタントの谷出正直氏は話す。

<コメント>

  • 各選考プロセスにおける接続率が高い星野リゾートだから
  • 常にCSを追求し、そのCが学生になった就活でも再現性のあるメソッドが確立されている星野リゾートだから

可能な話で、「本命企業選考前の練習としたい」「練習のつもりで参加し内定が出ればラッキー」というおよそ「その企業へ魅力を感じているとは言い難い」感覚の学生を相手にする一般的な企業からすると、簡単な様に見えて実は相当に難易度の高い話です。

 

また、選考の過程で自社の強みをインプットすることは有力な内定防止策なんかではなく、必ずやらなければならないことであり、またその強みが誰の眼から見ても明らかでなければ学生からは選ばれません。

 

Q:以下の部分についてどう感じるか②

【以下記事の一部を抜粋】

 また、一風変わった防止策として、一部の採用支援会社が“裏メニュー”として用意している「内定受諾説得サービス」を活用する方法もある。

 通常であれば採用支援会社の仕事は人材を企業に紹介した時点で終了する。しかしこのサービスをオプションで追加しておくと、支援会社は紹介後も学生と適度に接触。雑談をしながら、紹介した企業の安定性や成長性などを第三者の視点からそれとなく評価し、学生が内定を辞退しないよう、あるいは他の企業の内定をもらわぬよう誘導するのだ。

 「もちろん嘘は言えないし、ネガティブ情報はきちんと伝える。それでも第三者に背中を押される効果は大きいようで、内定辞退の確率は経験上大きく減る」とある採用支援会社の社員は打ち明ける。

<コメント>

人材紹介を生業とする企業に対する悪意を感じます。

ここで登場している採用支援会社とは、オプションとは何を指すのが分かりませんが、ちゃんと取材して記事を書いて欲しいものです(ちゃんと理解した上でこの書き方をしているとすれば別の問題が出てくる…)。

 

まず、人材紹介業を行う企業にとって、「企業に紹介した候補者が内定を承諾してはじめて紹介手数料が支払われる」ため、人材を企業に紹介した時点でビジネスが終了することはありません(あったとしたらその企業のサービスレベルは低いと言わざるを得ない)。

 

人材紹介業を行う企業には、

  • その候補者にその企業を紹介した責任
  • その企業にその候補者を紹介した責任

があるため、双方が最終的な意思決定を行うまで真っ当に仲介することが求められます。つまり裏メニューでもなんでもありません。この「真っ当に」がとても難しいのですが「真っ当に仲介」しても、お互いの合意に至らないことの方が圧倒的に多いのが現実でもあります。

 

しかしこの記事は「人材紹介会社が自社の収益確保のために、純粋な就活生を手練手管を弄して取引先の内定を承諾させている」かのような書き方に感じます。恥ずかしい話ですがそうした企業がないとは言いきれません、しかしむしろそうした企業は、後ろめたい気持ちを学生から見透かされ、SNSで実態を共有され厳しい立場に追い込まれています。

 

人材紹介業は決して「世間や候補者に対して隠しておくもの」でも「後ろめたい気持ちで行うもの」でもないことを広く知って頂きたいと思います。