【考察③】就活ルールの廃止について
佐藤です。
テニスプレイヤーの大坂なおみ選手が、グランドスラムを初制覇して日本中が湧いていますね、個人的には錦織選手にも是非その栄冠を掴み取って欲しいと願っています。
さて、それとはまったく関係のない“就活ルール廃止”の考察を続けましょう。
【前提の確認】Q:今の就活で学生の動きはどうなっているのか
今はこんな感じだと前回の記事でお話ししました。
Q:就活が前倒しになるとはどういうことか
私は就活ルール廃止によってこんな形状に近づくと予想します。
ここで言いたいことは、
多少前倒しになるとは言え、極端に(際限なく)早くはならない
※一部の声の大きなオトナが心配している事態にはなりません
ということです。
私が上記ラインを描いたのは企業側の動きとして
- 入社から半年前の内定式開催(10月)はおそらく固定
- 現採用市場の横綱:総合商社の採用活動期間もおそらく固定
- ベンチャーや外資の内定出しが早まっても学部2年生の後期が限界
- 2.と3.の間で残りのほぼ全ての企業が採用活動をする
と考えたからです。
Q:入社から半年前の内定式開催(10月)はおそらく固定?
人事は、新卒の入社のための諸手続きや研修の実施のために、半年前にはメンバーを固めておきたいのです。
Q:現採用市場の横綱:総合商社の採用活動期間もおそらく固定?
採用のバイイングパワーがある企業は、採用活動を極端に短く終わらせることができます。では「いつ活動するか」をどう決めるかと言えば「どこが最も効率(労働力・予算ともに)が良いか」という視点に基づきます。そうなると「“内定式をついでにできる”内定式の直前期」が最も合理的な選択肢になります。
総合商社の就職人気にも翳りが感じられますが、しばらくは現状維持でしょう。
しかし、ここが今後崩れるとまた状況が一変すると予想されます。
Q:ベンチャーや外資の内定出しが早まっても学部2年生の後期が限界?
ポイントが2つあります。
まず1つ目、この式が成り立ちます。
内定出しの時期を早める = 学生のフォローをする期間が長くなる
学生のフォローをする期間が長くなると
- フォローのための予算が高くなる(人もお金も)
- 内定辞退のリスクが上がる
- 内定辞退によって受けるダメージが増える
人事にとって都合の悪いことばかりです。
ただ採用のバイイングパワーが弱い企業(外資は弱くありませんが…)は、
他企業に先んじて内定を出さないと内定すら出せない = そもそも採用できない
という葛藤があるため、ギリギリまで前倒しになると考えられます。
次に2つ目、「あまりに早過ぎると学生を評価するための材料が極端に減ってしまう」ということです。
例えば現状、丸3年間分の大学生活を評価対象として選考できているとすると、
内定出しを前倒す→選考を前倒す→学生の持つ経験(評価材料)が減る
ことになり、早めれば早めるほど評価材料が少ない状況でその人物の将来性を判断しなければならず「選考の難易度が跳ね上がる」ことになります。
以上2つがなんとかバランスするのは、入社から逆算して2年前なのではないかと考えました。
次回はこの続きを。
【考察②】就活ルールの廃止について
佐藤です。
少しずつですが空気が秋めいてきたように感じます。
他方、関西地方の台風被害や北海道の地震など心配ごとは尽きません。
さて、“就活ルール廃止”のテーマで考察を続けたいと思います。
安倍総理の「ルールを順守して」発言や各教育機関の反対もあって、2021年度卒の就活生からいきなりルールが廃止されることは考え難いと思いますが、緩やかに廃止の方向に向かうのではというのが私の考えです。
Q:就活ルール廃止によって何が変わるのか
多くの人が声を揃えるように、私も就活が前倒しになると思います。
具体的にどうなりそうかについては明日以降の記事で言及します。
Q:今の就活で学生の動きはどうなっているのか
画を書いてみると大体こんな感じです。
縦軸はアクティブな就活生数を、横軸は時期を表します。
<ステップ1>
学部3年(または修士1年)次の6月頃から全体の2~3割程度の就活生が夏季インターンシップなどの情報収集や選考対策に動きだします。
<ステップ2>
学部3年(または修士1年)次の10月頃(大学の後期日程開始)から夏季に第一波として動いた全体の2~3割の就活生がインフルエンサーとなり、活動していない層へ影響を与えます。結果、追加でもう2~3割の就活生が年末年始の冬季インターンシップに向けて動き始め全体の半分近くの勢力に拡大します。
<ステップ3>
3月の大手有名就活ナビサイトのオープン(広報解禁)直前あたりから、大学内での合同企業説明会などが熱を帯び始め、それに呼応する形で残りの非活動者が次々と活動を開始します。大手有名就活ナビサイトのオープン~2週間程度でピーク(全体の8~9割程度が活動者へ)を迎えます。
<ステップ4>
5月のGW前後から大企業からの内定を確信した層や中小ベンチャーへの就職を意思決定した層を中心に就活が沈静化し始めます。6月の大企業選考解禁から3週間程度で一気に内定が市場へとばら撒かれ、7月意向は就活を継続する層が少数派に変わります。
<ステップ5>
10/1の内定式をめがけて就活生の動きは終息へ向かいます。
以上が全体像です。
<補足>
・アクティブな就活生とは、就活のナビサイトに登録するだけではなく、実際に足を動かしてインターンや説明会などに参加している学生のことです。
明日以降は以上を前提として、就活ルール廃止により
- 学生の動きがどうなりそうか
- 企業の動きがどうなりそうか
について引き続き考えていきたいと思います。
【考察①】就活ルールの廃止について
佐藤です。
今日のお題は、2019年度卒の就活が落ち着き、
2020年度卒向け夏季インターンシップが盛況となる中、
連日メディアの話題を攫っている本テーマについて。
個人的に言いたいこと満載なので、
このテーマでしばらく引っ張るかも知れません。
Q:就活ルールは廃止すべきか
廃止で良いでしょう。
まず、策定から4年も経たないうちにすっかり形骸化してしまっているこの状況を冷静に分析する必要があります。
「今の就活ルールを見直して最適化する」という選択肢もありますが、
- 外部環境(ビジネス市場における前提など)は今後も変化し続ける
- その変化のスピードは一層速まることが予想される
以上より、現行ルールを見直して公表される頃にはまたすっかり前提が動いてしまっていてその時の市場にそぐわず形骸化するという状況が容易に想像されます。
これが是であれば、リスクの検討・対策を済ませた上で廃止で良いでしょう。
他方、“就活ルールが時代の変化についていけていない”というのは、“それを定めた政治やそれを求める教育、それを受け入れた経団連が時代の変化についていけていない”ということとほぼ同義であるかも知れません。
仮にそうなら負のレガシーと化している
・大学側の捉える「学業の在り方」
・政府側の捉える「学生(旧時代的な)ファーストという考え方」
こそ見直される必要があるでしょう。
Q:時代の変化に付いていけていないのは経団連、政府、教育機関なのか
個人的には“その可能性が高い”と考えます。
その根拠として、例えばこの記事にある世界時価総額ランキングを見ると
30年前とガラッと顔ぶれが変わっています。
その変化に驚くとともに、平成元年ランキング上位の日本企業は軒並み今の経団連加盟企業であることに気が付きます。
そしてもうひとつ、経団連加盟企業に今の日本の経済成長を支えているはずのIT企業が少ないことにも違和感を感じます。
経団連企業会員一覧
http://www.keidanren.or.jp/profile/kaiin/kigyo.pdf
参考資料
※このグラフは下記の公表データを基に筆者が作成しました
総務省|平成28年版 情報通信白書|日本の産業別実質GDPの推移
他方、奇しくも新卒一括採用が始まったのは1985年頃(およそ30年前)だそうです。
新卒採用の歴史|人事が知っておきたい新卒採用の変遷 | HR NOTE
色々と感じることがありますね。
A:あとがき的なもの
ルールがなくなることによって、企業が学生を拘束することが常態化し、学生の学業の妨げとなる事態を心配する声がありますが、現代はソーシャルメディアの力によって組織の不正が暴露されやすい時代になってきているので見えない抑止力は働きそうだなと感じます。
過去の関連投稿
VISIBRUIT2019年度卒利用者の内定獲得先実績のご紹介
佐藤です。
しばらくぶりのブログ更新となりました。今年の夏は暑かったですね…。
今日はこれまでの活動報告を兼ね、弊社事業の屋台骨である「就活生支援」の最新実績をご紹介します。
Q:2019年度卒の実績はどうか
弊社創業二期目にあたる年の実績です。
Q:2018年度卒の実績はどうだったか
弊社創業初年度の実績です。
Q:二期分を振り返ってどう思うか
年々利用者が倍増し、着実に力をつけて来ていると感じます。
- 各業界における内定獲得先が増えていること
- 難関と位置付けられる企業からもコンスタントに内定獲得者を出せていること
特にこれら2点は今後弊社の利用を検討される就活生(もちろん企業の採用ご担当者の方も)にとってプラスの材料ではないでしょうか。
さらに、人材紹介先としての弊社取引先含有率が2期連続で3%未満と極めて低く、就活生にとって「中立性が非常に高い、安心できる就活パートナー」として評価できると考えます(企業向け営業力が高くないだけなのでは…というごもっともな指摘は横に置いておきます笑)。
・外銀
・マスコミ(主に4マスの代理店業を得意とする企業)
・戦略系コンサル
・エネルギー
・自動車メーカー
についての実績は物足りなく見えますが、今後実績が積みあがってくると感じています。三期目に入って四半期が経過しましたが、今期も愚直に突き進みます。
理想を現実で塗りつぶしてはならない
久しぶりの久しぶりに投稿します。平川です。
突然ですが、、
理想と現実とは時に大きく違う。
それはそうだとしても、
理想(言い方が大げさなら「よりよいもの」)を思い描く力、
それに向けて努力する力は、
やはり必要だと思うのです。
何の話か?
就活における、「ホンネとタテマエ」についてです。
前の記事にて佐藤が書いている通り、
・経団連が「採用選考に関する指針」において、
6月1日より前の選考活動は「厳に慎む」と発表している。
・にもかかわらず、経団連所属企業であっても、「ジョブマッチング(ほか呼び方はいろいろ)」といった「面接のようなもの」が実施され、「内定のようなもの」が出されている。
・さらには、
「内定(のようなもの)が出された場合は、辞退は受け付けられません」と企業から言われる。
ということが、いま就活の現場で起きています。
ことわっておきますが、
僕はどちらかというとリアリストなので、
この世の中(特に日本では)時に「ホンネとタテマエ」が存在していることも知っています。
経済学の原理に従えば、協定は抜け駆けをすることが各主体にとっての個別最適戦略なのかもしれない。
従って、「厳に慎む」と言ってもフライングをして選考をしてしまうのがある意味では合理的、
というのも分からなくはないのです。
しかし!
だからと言って、
「辞退は受け付けられない」
とまで言うのはいかがなものか。
自らがタテマエ上選考をスタートすると言っているタイミング「より前に」、就活を終えろ、と言っているのです。
これはさすがに、いかに世の中「ホンネとタテマエ」だとは言え、
あまりに節操がなさすぎるのではないか。
と怒りを禁じえません。
という話。
さて、と。
冒頭の話題に戻りますが、
日本流の「ホンネとタテマエ」という考えかたは、
ホンネ=現実
タテマエ=理想
と読み替えると、
「理想と現実は違うかもしれないけど、まぁ現実(ホンネ)もうまい解釈をすれば
理想(タテマエ)とほぼ同じと言えるよね。」
という考え方で、
これがまぁよくないなあ。。と最近思うワケです。
「理想と現実は全く違うんだ!残念!!」
ならまだいい。
そのギャップを埋めるためにはどうすればいいんだ?と思考が向くからです。
一方で、
「現実をうまく解釈すれば理想と言えるかもしれない」
と考えてしまうと、実体を何も変えずに解釈だけで現実を理想に重ね合わせてしまう。
つまり、現実が理想を浸蝕するということです。
これでは現実を変えていこうという思考にならない。
だから日本では、
「理想を目指してイノベーションを起こそう」という発想が乏しいのでは?
世の中の流れが緩やかな時にはそれでよかったかもしれないが、こうもテクノロジーが発展して今まであり得なかったものがどんどん実現する時代の流れについていけないのでは?
と思うのはさすがに考えすぎでしょうか汗
これから社会に出ようとする若者に対して、就活という、
最も無理くりな「ホンネとタテマエ」の洗礼を浴びせることの弊害いかばかりかと思うのであります。
若い方たちには、
どうか確固たる理想を思い描く力を、忘れないで欲しい。
と切に願う今日この頃でした。
【悲報】社会に対して学生を失望させるジョブマッチングと称された異様な場
佐藤です。
正直今日のお題はあまり書きたくない内容です。
しかし最近、就活生からの相談で
実に悲しい(恥ずかしい)内容が相次ぎ
ついに記事にしてしまいました。
こうした市場の歪みを一刻も早く解消できるように、
一層事業のスケールアップに励まなければならないと
気持ちを新たにしています。
Q:ジョブマッチング制度とは
誰にも正しい定義がわからない就活用語です。
なぜなら
「明らかな定義を与えてしまうと都合の悪い言葉」
だからでしょう。
自分が満足するまで検索してみた結果(あまり期待していませんでしたが)
もっともらしく説明されているページはいくつか見つけました。
が、やはりツッコミどころ満載で、
今後の就活の場には「不要な遺物」であると思います。
Q:なぜ「不要な遺物」なのか
経団連加盟企業が、
選考解禁前(19卒採用の場合は6月1日)に実施している、
事実上の面接。
だからです。
もちろん「入社後のミスマッチを防止するため」など、
その意義を見失わずに面談を実施されている企業もあると思ってはいます。
が、残念ながら私の周りの就活生の多くは
我々大人の都合で創り出された
こうした「不要な遺物」によって翻弄されているのです。
Q:上記の説明通りならそこまで問題視しなくても良いのでは
確かに、単にフライングして面接をしているだけならそうかも知れません。
しかし
「マッチング成立後は辞退は受け付けられません」
と学生に迫るのは “オワハラ” です。
<補足>
- マッチング成立=内定
- 辞退を受け付けられない=内定辞退は受け付けられない
こうしたことが、皆さんが就職したいと思っている企業にこそ横行しています。
経団連には加盟企業に対して、
既に形骸化してしまった「採用の指針」を遵守させることができないまでも、
こうした事態を踏まえて然るべき対応をとって貰いたいと思います。
Q:思い当たる学生はどうするべきか
意思決定は自由ですが、こうした状況下にある学生には是非
「それでは御社の選考(内定)を辞退致します」
と自信をもって告げて欲しいと思います。
“採用指針変更”以降最速の就活市場
佐藤です。
怒涛の3月が終わってホッとしたのも束の間、
- 戦略通りに採用が進まない企業の採用担当者の方々
- 不安を抱え短期決戦を必死に戦う就活生
からの問い合わせが相次ぎ、先週は全く時間が取れませんでした。
恥ずかしながらこれは完全に不意打ちをくらう形となり
ブログはお休みしました…。
体感ですがここ数年の私の業務経験の中で、
「最も展開が速い市場」となっていて、
それを裏付けるような記事がありました。
Q:この状態をどう捉えるか
就職予定の大卒者の2割は
MARCHと呼ばれる学歴層以上の総人数と近似するため、
現在「MARCH以上の学生は全員1社内定を持っている」
という解釈ができます。
※実際にそんなことはありえないのですが…
私が面接の場で出会う学生にヒアリングしても
内定をまだ貰えていないという学生の方が少数になっています。
Q:この時点で内定をもらっている学生は今後どう動くのか
もちろん、
内定先の企業よりも魅力を感じる企業の選考にだけ参加をする
ことが予想されます。
が、例年以上に
大企業の選考を待たずに、このタイミングで意思決定をする就活生
が多い気がしています。
Q:この時点で内定を出している企業は今後どう動くのか
計画値よりも多めに内定を出さざるを得ないでしょう 。
なぜなら
自社が内定を出している学生はほぼ間違いなく他企業も内定を出していて
最終的に自社の内定を承諾してくれるか分からないから
です。
そうなると
最優秀層から順に就活市場から姿を消していき
それに続く層へと次々に内定が付与されていくことになるので
今以上に就活は前倒しになっていきます。
Q:以上から何が言えるのか(ちょっと営業的になってしまいました)
<就活生へ>
一刻も早く、内定をいかにもらうのかではなく
どこに就職するのか、という本質的な問い向き合い
納得のいく決断をなさってください。
<企業の採用担当者の方々へ>
19卒採用の大勢はほぼ決してしまった感がある中
・今後の19卒採用の展開の仕方
・20卒採用の動き出し
を同時に考え、実行に移さなければならない状況だと思います。
私なりのアイディアはありますので、
ディスカッションパートナーをお探しの場合はお気軽にご連絡ください。
<新大学3年生の方へ(20卒就活生)>
就活支援企業の広告が一斉に展開されていると思いますが、
19卒のこの状況は20卒の皆さんの活動に多大な影響を与えることになります。
できるだけ早い段階でご自身のキャリアについて考える機会を持ってください。