令和時代の就活、採用活動を占う⑥<人事目線>
佐藤です。
引き続き令和の就活、採用活動を占います。
今日も事業会社の人事目線で考えます(そのうち学生目線でも考えます)。
Q:“手に職”層の傾向
この層の傾向は、大学生活において学業、部活(またはサークルや学園祭実行委員会など)よりも、アルバイトやボランティア活動、企業でのインターンやNPO団体などの活動に割く時間が可処分時間の大半を占めています。彼らにとってはあまり「学業に対するインセンティブ」が高くないので、「学歴問わず成績が良くない」人が多いのも特徴です。
Q:高学歴学内活動集中層や就職難民層との比較は
主に以下3つです。
- 縦横にネットワークが広い(年齢が縦、学内外が横)
- 社会に出てもすぐに価値発揮できるようなスキル、経験値がある
- 周囲に対する同質化傾向が強くなく自分で思考して意思決定ができる
Q:縦横にネットワークが広いということはどう良いのか
主に以下3つです。
- 世代を超えてコミュニケーションを取らなければならないためコミュニケーション能力が高いことが多い
- 世代を超えてチームワークをしなければならないため、プレイヤー、マネジメント両面の立場で難局を経験していることが多い
- 何かあった時に相談できる相手(自分とは価値観が異なる相手含め)が沢山居る
Q:社会に出てもすぐに価値発揮できるようなスキル、経験値があると何が良いのか
育成コストが安く済む、配属後の活躍の可能性が高いということです。
この層は学生でありながら、“個”として顧客(相手)に向き合い、『対価(料金)を受け取って(または受け取らずに)仕事(労働、奉仕活動)をすることとは何たるか』を学んできています。
この層でその点を言語化までできる学生は少ないですが、多くの企業が内定者研修や新人研修で重きを置く“学生から社会人になる時のマインドチェンジ”の必要がないのです(実施しても落第しない)。
Q:周囲に対する同質化傾向が強くなく自分で思考して意思決定ができるとどう良いのか
マニュアルやテンプレートが(なんなら上司からの明確な指示さえ)なくても仕事を進められるようになったり、固定概念に囚われずにものごとを考えられるようになります。
なので、現在もそうですが
- ベンチャー企業
- 変化の激しい業界(特にIT、デジタル業界)
との相性が良い傾向があります(ほぼ相思相愛状態です)。
彼らは就職時までに、様々な人とのコミュニケーションによって、自らのことだけでなく、自分が受け取った情報の真偽や指示の合理性などを多面的に評価することができるようになります(多様な評価ロジックの蓄積や、それぞれについてPDCAサイクルを回して洗練していけるため)。
このプロセスによって“自ら思考する”ことが基本動作として身に付き、多くが“自らが納得できないことに対して盲目的に従わない”傾向を示したり、“自分自身と相対している相手の力量をその場で計りながらコミュニケーションをする”傾向を示すようになります。
Q:“手に職”層の対策
<接点創出方法>
この層は特別なことをしなくても(いわゆる「一般的な母集団形成方法」によって)接点創出できます。
詳しく知りたい方はメッセージください。
<魅力訴求方法>
この層は“口説き難い”のが特徴です。
どう口説き難いのかというと「基本、自分が認めた相手の話しか聞かない」ということです。大企業がこうした“マネジメントコストの高い人材を採用したいか”はさておき、採用戦略で実施している“画一的なリクルーターを使ったローラー作戦”では歯が立ちません。社会人経験が浅く、自分とあまり年齢的に差がない人物が相手だと「この人の話面白くないな、この企業に入っても歯応えのある経験ができず、大した技術や能力も身に付かないのかも知れない」と思うのです。
もっと詳しく知りたい方はメッセージください。
次回は就職難民層へと展開していきます。
令和時代の就活、採用活動を占う➄<人事目線>
佐藤です。
箸休めを終え、引き続き令和の就活、採用活動を占います。
今日も事業会社の人事目線で考えます(そのうち学生目線でも考えます)。
Q:学歴依存層(※名称変更)の傾向
まず、このままだと間違ったイメージを持たれそうなので呼称を変えます。
最初、学歴依存層と名付けたものの「高学歴に胡坐をかいている層」という意味で付けたのではなく、このx軸の整理においては「その学生の活動が大学内で閉じているか、社会に開かれているか」ということを表したかったので、“高学歴学内活動集中層”と呼ぶことにします。
この層の傾向は、大学生活において
①学業
②部活(またはサークルや学園祭実行委員会など)
に割く時間が可処分時間の大半を占めていて、彼らのネットワークは同世代の大学生がほとんどとなります。
就活無双層や“手に職”層と比較すると「社会人との接点」が圧倒的に少ないので、その人の価値観や思想を形成する際の、または自身の意思決定に対する影響を
・大学内をはじめとした同質的な友人(シンプルに考えたいので留学先、先輩後輩含む)
・家族(主に両親)
・授業で取り扱うなどした文献、論文、書籍
・ゼミや研究室の指導教官(キャリアセンターのスタッフ含む)
などから受けることになります。
Q:高学歴学内活動集中層の対策
<接点創出方法>
まず彼らと接点を持つためには
直接ルート:大学に直接赴く
間接ルート:その大学出身者のリレーション(出身ゼミ、出身サークルなど)を辿る
の基本どちらかになります。
その先に細かい分岐があるのですが、詳しく知りたい方はメッセージください。
<魅力訴求方法>
この層特有の方法が存在します。
詳しく知りたい方はメッセージください。
次回以降は“手に職”層、就職難民層へと展開していきます。
2020年新卒版 面接官が嫌いな学生からの逆質問ランキング③
佐藤です。
引き続きランキング形式で発表します。
本日は栄光の第1位です。
Q:<前提>質疑応答の時間を与えられた場合、何を質問すれば良いか
自分にとって必要なこと、聞きたいことを自由に、遠慮せずに聞いてください。
質疑応答はクチコミやネット上で収集した情報の真偽を確かめる上でも極めて重要な機会です。
↑
しつこいですが、大切なことなので。
Q:面接官が嫌いな学生からの逆質問ランキング 第1位は
2020年度新卒採用時の第1位はこの質問としたいと思います!
Q:なぜ嫌いなのか
聞く前に自ら事前に調べて欲しい、間違っていても良いので持論を持っていて欲しいからです。
もちろん、純粋な気持ちで聞きたくなることもあると思いますが、多くの企業は「自社の強み、同業他社との違い」を考えて言語化し、ホームページやリクルーティングサイト、企業説明会などでメッセージを発信しています。
就活生は面接よりも手前のタッチポイントでこうした情報に触れているはずなので、何も考えずにこの質問を投げかけられると「私は御社について企業研究をする気がありません!(が選考にはこうして参加しているので一応志望はしています)」と聞こえるのです。
ちなみに、今は就活生優位な市況なのでこうした「最大級に受け身の質問」をしても大目に見てもらえて丁寧に情報提供してもらえることが多いのですが、それは採用活動中の企業にとって「就活生が大切なお客様」だからです。
どこかの企業に入って社会人デビューした後にこの姿勢のままだと一発アウトなので、記憶の片隅にこの点を置いておいてください。
Q:この質問の下処理としての成功例
どうしてもこの質問をしたい場合は
としてください。
事前に自ら研究し、考えていることが相手に伝わり、上述した面接官の心情が和らぎいくらか気持ちよく答えてくれると思います。
Q:この質問の下処理としての失敗例
絶対にやってはいけないのは
これは最悪です。
これを社会人がやると「この場で勉強不足を謝罪するくらいなら、事前に下調べしてこい!!」と一蹴されるパターンです。
面接官に対する期待値調整的な意味合いで、「少しでも謙虚に聞こえるように工夫しよう」とこの言葉を選択すると火に油を注ぐ結果となり大火傷します。
就活生優位の市況を経験した人には
・内定獲得の難易度は下がるが、社会人として適応する難易度が上がる
という影響がありそうです。
2020年新卒版 面接官が嫌いな学生からの逆質問ランキング②
佐藤です。
引き続きランキング形式で発表します。
※余談ですが今回はVisiblogの記念すべき100回目の投稿です
本日は第2位です。
Q:<前提>質疑応答の時間を与えられた場合、何を質問すれば良いか
自分にとって必要なこと、聞きたいことを自由に、遠慮せずに聞いてください。
質疑応答はクチコミやネット上で収集した情報の真偽を確かめる上でも極めて重要な機会です。
↑
くどいですが、大切なことなので。
Q:面接官が嫌いな学生からの逆質問ランキング 第2位は
同率2位として
このふたつは甲乙つけ難いですね。
Q:なぜ嫌いなのか
<2位-1について>
主に3つ理由があるのですが、
・面接官は“正解”を求めて質問した訳ではないのに、学生が正解を知りたがっているように感じるから(学生の自ら考える姿勢に対して疑問を抱いてしまうから)
・学生がうまく回答できなかった場合の、腹いせに近い感情から出た質問だと感じてしまうから(「あなたはきっと、さぞかしうまく回答できますよね?」という負の気持ち)
・その学生が、事前に(そもそも)聞きたいと思っていたことではないから
です。
<2位ー2について>
これも主に3つ理由があって、
・質問をした学生がそもそも“挑戦”とは何か、“裁量”とは何かが分かっていないため、その部分の説明からすると“説教くさく(ブラックっぽく)”なってしまうから
・面接官が一生懸命、誠実に「ある」と答えたところで、聞いた学生が心底納得はできないから
・実際に「挑戦できない、裁量がない」会社でも、立場上「ない」とは答えられないから
です。
このあたりの逆質問を上手に処理してくれる面接官(人事/先輩社員/役員)がいる企業は魅力的だと思います。
次回は栄光の第1位の発表です。
2020年新卒版 面接官が嫌いな学生からの逆質問ランキング①
佐藤です。
重たい占い系記事の箸休めとして、読んで貰えれば幸いです。
タイトルの面接官とはもちろん私です。事業会社の人事担当者の方がこのタイトルで書くと炎上してしまうため、僭越ながら私が世の中の面接官を代表して投稿したいとします。就活生の皆さんにはご参考まで。
サンプル数は約2,500名(弊社会員+顧客企業の選考参加者)、過半数が早慶以上の大学に通う2020年度新卒生の方々です。
私の面接を受けた方で心当たりのある方は、
『あの時そう思われていたんだ!』
と思ってください笑
Q:<前提>質疑応答の時間を与えられた場合、何を質問すれば良いか
自分にとって必要なこと、聞きたいことを自由に、遠慮せずに聞いてください。
質疑応答はクチコミやネット上で収集した情報の真偽を確かめる上でも極めて重要な機会です。
Q:面接官が嫌いな学生からの逆質問ランキング 第3位は
です。
Q:なぜ嫌いなのか
本質的でなく、志望度の高さ、積極性などを相手に感じさせるためだけの質問だと思うからです。
準備について本当に気になる方は、選考途中(面接の場など)ではなく、是非内定を獲得した後で、研修の案内などをされる際に聞いてください。
実はこの質問、面接官にとっては最頻出のひとつ(筆者はすっかり食傷気味です…)なので、志望度の高さや積極性などを面接官に訴える効果はあまりありません(あの学生、志望度高そうだから加点しようか!とはならない笑)。かえって“あざとさ”を感じられるリスクさえあります。
ちなみにこの頻出質問に対する頻出回答は
です。
次回は第2位の発表です。
令和時代の就活、採用活動を占う④<人事目線>
佐藤です。
引き続き、令和の就活、採用活動を占います。
今日も事業会社の人事目線で考えます。
Q:21卒以降の新卒採用戦略をどう考えるか
「少しでも優秀な人材を採用したい!」という方針の企業においては、基本的にはこの図の〇の部分に該当する32%に対して、いかにアプローチ、いかにクロージングするのかというのが基本戦略になるでしょう。
Q:なぜこの2つなのか
端的に言えば、就活無双層には会えない、採れないとした上で
- 面接時の評価材料が比較的集め易く、入社後活躍してもしなくても採用の成否の“振り返り”がし易い
- 入社後の育成/マネジメントコストが比較的安く済みそう
多くの企業に当てはまるように、優秀な人材の定義をこのように考えるからです。
我ながらコンサバな定義だなと自嘲しつつも、
- 大卒求人倍率1.83倍(2020年新卒)
- 大卒就職内定率91.9%(2019年新卒)
という売り手市場の中、そもそも必要数採用することが大変で、
質を上げていくのはその後の話になってきます。
ちなみに
これから新卒採用をしたいと考える企業の場合はこの図のように、
①就職難民層で目標数が採用できるようになる
②採用目標数のうち学歴依存層、“手に職”層が占める割合を増やしていく
③採用目標数のうち過半数が②を占めた上で数名が就活無双層であるようにする
という手順を踏みます。
これが1年のような短期間でできるようなることが理想ではあるものの、現実的には3年~5年程度の計画でレベルアップをしていくことになります。
余談:なぜ就活難民ではなく就職難民なのか
彼らも「十分に内定は取れる」からです。
とは言え、
- 何が好きか分からない
- 何がやりたいのか分からない
- 何ができるのか分からない
という状態なので、
- 内定を取るまでに必要な活動量が多い(選考通過率が低い)
- 内定を取っても気持ちよく意思決定ができない
- 就社した後も悶々と自分の将来について悩んでしまう(早期離職率が高い)
傾向が強いため、就活ではなく就職という単語を使用しました。
明日以降も、このテーマを引っ張ります。
令和時代の就活、採用活動を占う③<人事目線>
佐藤です。
引き続き、令和の就活、採用活動を占います。
今日は事業会社の人事目線で考えます。
Q:今後、就活無双層には会えるか、採れるか
一部の企業を除き、「会えないし採れない」と考えた方が良さそうです。
コストを掛ければ「会えはする」ものの、結局「採れない」ので、私なら「会わなくて良い」としてしまいます。
Q:なぜ会えないのか
そもそも数が少ないのと、就活で訪問する企業数が極端に少なくて済んでしまう層なので彼らとの接点が限定的であるからです。
私の考えでは
このように仕分けられます。(※根拠を知りたい方はメッセージください。)
4%の就活無双層が就活で訪問する企業数は多くても10社程度でしょう。
リクナビ2020の掲載企業数は31,000社だそうなので、それを分母としても
10/31,000
に入らなければいけません。
Q:なぜ採れないのか
一部の例外を除き
・採用競合が複数社存在しそれぞれが強力である
・その上で彼らを意思決定させるだけの条件が提示できない
・その上で彼らを意思決定させるだけの魅力訴求ができない(上と少し重なりますが)
これらが理由です。
なので彼らを度外視して採用戦略を組み、それを実行する中で会えればラッキー、採れればさらにラッキーとしておくことが良いでしょう。
Q:経営層からは「就活無双層をなんとか採れ!」と厳命されます
はい、どの企業もそうですね笑
そのような場合はまず経営層に状況を把握してもらう必要がありますが、採用単価だけでも
今現在ざっとこれくらい変わってきます。(人件費等は除いた純粋な採用費のみ)
就活無双層は紹介手数料率30%の人材エージェント経由で、年収400万の中途人材を採用するコストに匹敵すると言え、さらに採用するためには当然“予算”だけの話ではなくなってきます。「それでも採りにいきますか?」という事かも知れません。
なので耳が痛い話ですが、就活無双層を囲っている人材エージェントの価値は、少しずつ失われていくのでしょう(なんとか接点は創出できても採用に至らないので)。
明日以降も、このテーマを引っ張ります。